本記事は、
圧縮機(コンプレッサー)の種類が多くて何が違うのか分からない。
何の違いによって分類されているのか分からない。
という方向けにまとめたものであり、本記事を読むことで
圧縮機の分類
各種圧縮機の特徴
を理解できるようになります。
圧縮機の種類
圧縮機の種類は下図のように分類されます。
また、容積式の各種および遠心式の圧縮機は開放、密閉圧縮機に分けられます。
では、容積 / 遠心式の分類と開放 / 密閉圧縮機を分類するものは何なのかについて次項でご紹介いたします。
圧縮機の分類
容積式と遠心式
まず、圧縮機は冷媒ガスの圧縮方法によって「容積式」と「遠心式」に分類されます。
圧縮方法の違いは以下の通りです。
- 容積式
ピストンとシリンダ、スクロールやロータなどを用いて
容積(体積)を変化させることで圧縮する
- 遠心式
羽根車(インペラ)を高速回転させることで
冷媒ガスに遠心力を与え圧縮する
開放圧縮機と密閉圧縮機
次に圧縮機と駆動用電動機(モータ)の配置の違いにより
「開放」圧縮機か「密閉」圧縮機に分類されます。
- 開放圧縮機
圧縮機とモータ(電動機)が「別々」になっている。
※それぞれ別の部品となっていて、後につなぎ合わせるような構造
- 密閉圧縮機
圧縮機とモータ(電動機)が「同軸上で直結」しており、
「1つのケース」に収まっている。
密閉圧縮機については、さらに半密閉 / 密閉に分類されます。
これらは「溶接密閉」か「ボルト固定による密閉」かで分類されます。
容積式圧縮機の分類
容積式圧縮機は大きく分けて次の4種類に分類されます。
- 往復式(レシプロ式)
- ロータリー式
- スクロール式
- スクリュー式
これらはそれぞれ圧縮方法が異なります。
それぞれ簡単にまとめていきますね。
往復式(レシプロ式)
シリンダ内をピストンが往復することによる容積変化で圧縮する
ロータリー式
シリンダ内をロータが回転することによる容積変化で圧縮する
スクロール式
渦巻き型の固定スクロールと旋回スクロールの組合せによる容積変化で圧縮する
(固定スクロール内を旋回スクロールが動くことで圧縮する)
スクリュー式
スクリュー型の溝を利用した容積変化で圧縮する
各種圧縮機の特徴
開放圧縮機
シャフトシールが必要
開放圧縮機はクランク軸が圧縮機ケースから出ています。
※ケースを貫通して外部に突出している
そのため、冷媒漏れ防止のためにシャフトシール(軸封装置)が必要となります。
内部部品の補修・交換可
開放圧縮機は分解できるような構造となっています。
そのため、内部部品の補修や交換が可能です。
また、その利便性から主に大型の圧縮機に利用されています。
密閉圧縮機
使用冷媒に制約がある
密閉圧縮機は圧縮機とモータが一体となった構造であるため、冷媒がモータ巻線に接触してしまいます。
そのため、冷媒によっては巻線を侵す(腐食させる)可能性があります。
このような理由から、密閉圧縮機では巻線を侵さないフルオロカーボン系冷媒が使用されることが多いです。
一方で、巻線を侵すアンモニア冷媒は密閉圧縮機で使用されることはほとんどなく、開放圧縮機で使用されることが多いです。
しかし、近年ではアンモニアに侵されない材質で作られた巻線を用いることで、半密閉圧縮機で使用されることもあるようです。
吐出ガス温度が高くなる
密閉圧縮機は圧縮機とモータが一体となった構造であり、主にモータは吸入側に配置されます。
そのため、モータが発する熱により冷媒が加熱されることで過熱度が大きくなります。これにより、吐出ガス温度が高くなってしまいます。
半密閉圧縮機は内部部品の補修・交換可
半密閉圧縮機はボルト固定により密閉されているため、ボルトを緩めることで分解することが可能です。
そのため、内部部品の補修や交換が可能です。
一方で密閉圧縮機は、溶接により密閉されているため、内部部品の補修や交換をすることができません。
容積式圧縮機各種
簡易一覧
容積式圧縮機の特徴を簡易的にまとめてたものが下表です。
往復式 | ロータリー式 | スクロール式 | スクリュー式 | |
---|---|---|---|---|
吐出原理 | シリンダ(気筒)内をピストンがクランク機構で往復し圧縮 | 回転するピストンとシリンダの組合せで圧縮 | 渦巻き状の2つのスクロールの組合せで圧縮 | スクリュー型の回転体の溝を利用し圧縮 |
吸込弁 | 必要 | 不要 | 不要 | 不要 |
吐出弁 | 必要 | 必要 | 不要 | 不要 |
逆止弁 | 不要 | 不要 | ある場合もある | 必要 |
往復式(レシプロ式)
往復式(レシプロ式)の特徴は3つです。
- 気筒数が1〜2個の小型の圧縮機での潤滑方式ははねかけ式
- 気筒数が4個以上の圧縮機での潤滑方式は油ポンプによる強制給油式
- 起動時や液戻り時にオイルフォーミングが起きやすい
3の特徴を持つ理由は、冷媒機油が吸い込み側にあるためです。
ロータリー式
ロータリー式の特徴は2つです。
- モータは吐出ガスで冷やされる
- 液圧縮が起こりやすい
モータは吐出ガスに冷やされるので、温度はモータ>吐出ガスとなる。
また、液圧縮が起きやすいのは、圧縮機の構造として、吸込管が直接シリンダにつながっているからです。
スクロール式
スクロール式の特徴は3つです。
- 液圧縮に強い
- トルク変動が小さいため、騒音・振動が小さい
- 体積・機械・断熱効率に優れるため、高回転使用に適している
スクリュー式
スクリュー式の特徴は5つです。
- 設計により適切な圧縮比が決まっている
- 同容量の往復式より小型になる
- 運動部分の不釣り合いが小さいので、騒音・振動が小さい
- 油を多量に噴射しながら圧縮する
- スライド弁で容量を無段階に制御可能
4の特徴から、吐出温度は理論圧縮の場合より低くすることができる。
また、5の特徴において、容量制御はできるものの低容量時では成績係数が減少する。